Pick Up Lab
環境人間工学研究室
の未来をつくる研究

温熱・光・感情を統合した人間中心環境のデザイン
現代社会は、気候変動、エネルギー資源の制約、高齢化など、複合的な課題に直面しています。
自然環境は制御が困難ですが、室内環境は、人の生理的・心理的状態を支えることができる能動的メディアです。
本研究室は、温熱・光・音・気流など多次元の環境要素を、人間の状態や気分に合わせて変化させることで、
人に寄り添う未来型空間の実現を目指しています。
生体データに基づくパーソナライズド環境デザイン
室内全体を一律に照らしたり暖めたりする従来の方法ではなく、個人に応じて環境を細やかに調整する、人に寄り添った空間づくりを目指しています。人は、年齢や体格、光や温度への感受性、生活リズムなど、多様な特性や行動パターンを持っており、これらの違いが快適さや作業効率に大きく影響します。
そこで私たちは、体温・心拍・脳活動・ホルモン分泌・行動・生活リズムといった生理・行動データに合わせて室内環境をリアルタイムに最適化する技術の開発に取り組んでいます。例えば、体表面の温度に応じた局所空調制御や、個人の生理的リズムに合わせた照明制御などを組み合わせて温熱的快適性と生体リズムを同時に整える方法を探っています。
これらの研究を通じて、一人ひとりにとって最適な室内環境のあり方を提示し、より健康的で心地よい未来の生活・作業空間の実現を目指しています。
個人の状態に適応する室内環境デザイン
個人の体質や行動に合わせて温度や光を調整する研究に加えて、その人の気分や感情にも応じて変化する室内環境の実現にも取り組んでいます。人は、集中・緊張・疲労といった心理状態によって心地よく感じる環境が大きく変わります。そこで、カメラ、サーモグラフ、音声、心拍のゆらぎなどから推測されるストレスや感情状態に合わせて環境をそっと整える仕組みを研究しています。
例えば、緊張しているときには暖かみのある落ち着いた明るさ、穏やかな気流でリラックスを促し、逆に集中したいときには光や温度の刺激を少し高めて適度な緊張状態を保てるようにします。空間が人の気持ちに寄り添い、必要に応じて手助けしてくれるようなイメージで、室内空間そのものが「共感してくれるパートナー」のように働く新しい環境デザインを目指しています。
健康・サステナブル住環境マネジメント
住宅などの室内環境から得られる温度・湿度・照度・人感センサといった多様なデータを活用し、健康でサステナブルな住環境を実現する仕組みづくりに取り組んでいます。従来は、電気・ガスの使用量を見える化し、空調・照明・給湯などのエネルギー消費を最適化することが主な目的でした。
私たちはこれらに加えて、居住者の健康や快適性につながる活用方法を重視しています。例えば、高齢者向け住宅では空調の使い方をモニタリングして熱中症を予防したり、照明の利用状況を分析して睡眠や生活リズムの改善につなげたりすることが可能です。
このように、日常の生活データを環境づくりに活かすことで、安全で健康的、そして心地よく暮らせる住環境の実現を目指しています。
極限環境におけるリスク評価と対策
気候変動によって生じる極端な高温・低温環境や、自然災害時の避難所のように、日常とは大きく異なる環境で発生する健康リスクを評価し、その対策を研究しています。例えば、寒冷地の冬季避難所では、サーモグラフなどのセンシング技術により発熱者を早期に見つけたり、身体の冷えを可視化して支援が必要な人を特定したりすることが可能です。
また、このような特殊環境では、光環境が睡眠や体内リズムに大きな影響を与える点にも着目しています。避難所では照明が強すぎたり、逆に暗すぎたり、夜間に明滅したりすることで睡眠の質が低下し、疲労の蓄積やストレス増大につながることがあります。そこで、光・温熱・音・空気質といった環境要素を総合的に評価し、ストレス状態の推定と組み合わせながら、避難者が安全に、できるだけ心身を整えながら過ごせる環境の実現に貢献していきます。
人に寄り添う未来の空間をデザインしよう!
気候変動や超高齢化、多様性への対応など、これからの社会が直面する課題に対して、
温熱・光などの室内環境を、一人ひとりの体と心に寄り添って制御する研究を進めています。
快適性・健康・サステナビリティを両立する、未来型の空間設計に共に挑戦しませんか。
